電話会議の英語が聞き取れない原因と立て直し方
私が担当してきた受講生には、海外拠点との定例会議を週1回抱えている30代の方が何人かいます(以下は、似たケースに共通する部分をまとめた例です)。TOEICは730点前後。メールは書ける。資料も読める。それでも電話会議になると数字と固有名詞のほかは霧の中で、議事録係が回ってくる週は前日から気が重い、と言います。この記事は、その状態から何を見直すかを書いたものです。
電話会議の英語が聞き取れない主な原因は、音質の劣化と、単語がつながって別の音になる連結(リンキング)です。当日は聞き返しフレーズでしのぎ、並行してディクテーションとシャドーイングでリスニングの土台を作り直すのが現実的です。私が教えた範囲では、2〜3ヶ月続けて変化を感じた人が多いです。
対面なら追えるのに、電話会議で落ちる理由
対面の会議では、口の動き、身振り、スライドを指す手が音声の補助になっています。電話会議ではそれが全部消えて、圧縮された音だけが残ります。相手のマイクの品質もばらばらで、こもった音のまま話し続ける人が一人はいるものです。
もう一つが音の連結です。"Can I call you back in ten minutes?" は文字で見れば中学英語ですが、実際の音では単語の切れ目が溶けて、「キャナイコーユーバッ」のようなひとかたまりで飛んできます。単語テストで満点を取れる人でも、この音の変化に慣れていなければ拾えません。読めるのに聞けない、という現象の正体はだいたいここです。
会議そのものの事情もあります。話者が入れ替わる。話題が急に飛ぶ。回線が一瞬途切れる。教材のようにきれいな録音は、実際の会議にはまず出てきません。だから教材のリスニングが解けることと、会議が聞けることの間には段差があります。段差があるのが普通なので、そこで自分の英語力全体を疑う必要はないと私は考えています。
会議当日をしのぐフレーズ
聞き取りの練習は月単位の話なので、今週の会議は別の道具でしのぎます。音声トラブルの聞き返しは、ネイティブ同士の会議でも日常的に飛び交っています。
Sorry, you're cutting out a bit.
すみません、音声が少し途切れています。
Could you speak up a little? It's a bit faint.
少し大きな声で話していただけますか。聞こえづらいです。
Sorry, I think we talked over each other.
すみません、発言がかぶってしまいました。
聞き取れなかった箇所を全部聞き返すのは現実的でないので、確認は数字と期日に絞ります。"Just to make sure we're on the same page," と前置きして、自分の理解を短く言い直す。ここさえ合っていれば、細部を聞き漏らしても仕事は壊れません。
この種のフレーズは電話・オンライン会議のフレーズ集(26本・無料)にまとめてあります。会議の直前に該当場面だけ見返す使い方で足ります。
立て直しはディクテーションから
リスニングの相談を受けたとき、私は聞き流しの多聴よりも、1文を書き取るディクテーションを勧めています。理由は単純で、書き取ると自分が何を聞き落としているかが具体的にわかるからです。冠詞や前置詞だけが落ちるのか、連結で単語ごと消えるのか。穴の種類が見えると、練習の的が絞れます。
書き取りのあとは、音声に半歩遅れて口でなぞるシャドーイングを重ねます。自分の口で再現できる音は聞き取りやすくなる、というのが私の実感です。逆に、発音をローマ字読みのまま置いておくと、耳のほうもローマ字読みの音を待ち続けてしまいます。
期間について正確なことは言えません。聞き返しフレーズを入れただけで会議がだいぶ楽になった、という報告もあれば、ディクテーションを2〜3ヶ月続けてようやく会議の英語が像を結んだ、という報告もあります。個人差の幅は大きい、というのが3年教えてきての実感です。ただ、どちらのケースでも「何が聞こえていないか」を特定した人から順に楽になっていきました。
よくある質問
英語の会議で聞き返すのは失礼になりませんか?
音声トラブルの聞き返しは英語圏の会議でも日常的で、ネイティブ同士でも頻繁にやり取りされています。困るのは、聞き返しを避けて曖昧なままにした結果、数字や期日を取り違えることのほうです。
議事録係のときはどう乗り切ればいいですか?
全文を追わず、決定事項と担当者と期日に絞って拾う方法を勧めています。録画が残る会議なら、会議後に該当箇所だけ低速で確認するやり方もあります。
どのくらいの期間で聞き取れるようになりますか?
断定はできません。私が教えた範囲では、毎日20〜30分のディクテーションとシャドーイングを2〜3ヶ月続けて変化を感じた人が多いですが、開始時点のリスニング力によって差があります。
英語のりんの会員教材には、ディクテーション30本、シャドーイング教材、350〜450語の長文リスニング6題材があり、音声(211本)はすべて0.7倍速再生と文単位の頭出しに対応しています。今の自分の穴がどこにあるかを知りたい方は、無料の英語力診断(23問・約8分・登録不要)からどうぞ。
関連リンク
公開日: 2026年7月28日